「ヤノマミ」 アマゾンの大地に抱かれる精霊の子、原始の子。

5年前の冬、アマゾン河を手製の筏で下った。ひとりぼっちの、虫に魘され、孤独の真っただ中を漂う、そんな時間を学生の頃に過ごした。

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当時、2012年。その前年度2011年、とある本が大宅壮一ノンフィクション賞を取った。(大宅壮一は、日本のジャーナリストであり、作家でもある。そんな彼の業績を讃えて作られた賞で、正賞は100万円、副賞は国際往復航空券が授与される)

 

受賞作品は二作。

 

一作は角幡唯介の「空白の五マイル」。世界に残された地図上における空白部、チベットツアンポー渓谷へと探検をする。歴史ミステリーも含めたサバイバル記である。

 

もう一作は、アマゾンを舞台にした、文明社会と切り離された世界にある民族との共同生活を描く。

 

その本にはアマゾンの未だ知らぬ一面を濃厚に描いており、地球に生きる人間の深さのようなものを感じた。NHKのディレクター、著者のそんな肩書きに、少し驚きも感じた。ノンフィクション作家でも、ジャーナリストでも、探検家でもない、キー局のディレクター。

 

本のタイトルは「ヤノマミ」。副題も添えず、ただ、ヤノマミとだけ書いてあった。その潔さに、また表紙のインパクトに、やられた。

 

捲るページ、内容の濃さに、また、半月をかけてじっくりと歩み寄る取材班の綿密で繊細なアマゾンの風景と人物、その描写に吸い込まれた。

 

現在、各書店にヤノマミの本は置いてあるが、ヤノマミの放送映像を観ようと思ったらNHKオンデマンドの有料チャンネル内でしか閲覧する事はできない。

 

先日、ずっと観たかったその放送回を観る事ができた。

 

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ヤノマミ、その民族が持つ特殊な死生観は、取材の後半戦、闇夜のジャングルに木霊する。

 

14歳の少女が初めて子を身籠り、集落の外れの森で息む。そして、この世に生を産む。しかし、その赤児をジッと見つめ「人間として育てるか、精霊として大地に返すか」を決める。

 

現代社会に生きるわ達達からすれば、それは殺人という行為に他ならないかもしれないが、ヤノマミは人と、精霊、その狭間に生きる民族なのだ。

 

我々がすべて理論づけて証明する自然現象も、人間が持つ不思議な生体能力も、彼らはそれを精霊や目には見えぬ独自の世界観、宗教観、死生観に反映させる。

 

本と映像、両方を観る事によって、一層アマゾンの大地が持つ神秘さや、その深さに触れる。

 

また、アマゾンに生きたくなった。